中医学的アプローチを把握して治療の幅をひろげる
【特集】コモンディジーズの中医治療 ―不安・抑うつ―
不安は広範囲で漠然とした恐れの感覚をいい，抑うつは，憂うつである・気分が落ち込んでいるといった心の状態をいう。不安ではパニック障害・社会不安障害・強迫性障害などの不安障害がみられたり，抑うつでは双極性障害・抑うつ障害，うつ病などの疾患が含まれ，臨床ではこれらを鑑別診断のうえ治療に取りかかることが重要となるが，中医学では西洋医学とは異なり身体と精神は一体のものと観ており，そのユニークな診方を知っておくことは精神疾患や心身症を診るうえで役立つ。
中医学では人の精神活動は五臓六腑が担っていると考えており，今回のテーマである不安や抑うつと特に関連が深いとされるのは心・肝・胆である。心は血脈を主り，神を蔵する。肝は疏泄を主り，血を蔵し，魂を蔵する。胆は決断を主る。これらの働きが失調すると不安や抑うつが生じるとされる。
本特集ではプライマリにおける不安・抑うつ症状の診方と臨床のすすめ方を始め，臨床のヒントになるポイントについて紹介する。

◆本号の主な内容

【特集／コモンディジーズの中医治療 ―不安・抑うつ―】
■［中医診察ナビ］清熱・解毒・通絡による三叉神経帯状疱疹後の皮膚感染治療（丁元慶）
■［杏林春秋］日中における脳卒中の中医学・漢方治療の現状（横澤隆子ほか）
■［インタビュー］中医学は生活に根ざした文化　再び日常の生活に還る（白芳）
■［TCMA研修］分析結果とエコーアプリシエイション（鎌田剛）
■［杏林春秋］胎毒治療から生命観をさぐる（足立繁久）
■［仮免鍼灸］気象病を経脈の流注から検証する（大石知絵子）

◆目次


第176号（第45巻第１号）


◆特集／コモンディジーズの中医治療 ―不安・抑うつ―
　・リード（編集部）
　・概説／プライマリにおける不安・抑うつ症状の診方と臨床のすすめ方（西田愼二）
　・概説／東洋医学的視点から不安・抑うつについて（田中耕一郎）
　・漢方症例／不安・抑うつの4症例（石川利博）
　・漢方治療／胆気虚の理法方薬と関前短脈（篠原明徳）
　・トピックス／災害時不安抑うつの中医学臨床推論～災害時の中医学的メンタルヘルスケアを考える～（木村朗子ほか）
　・臨床のヒント／解決志向ブリーフセラピーの活用～不安・抑うつの事例を交えて～（岡留美子）
　・鍼灸症例／精神症状が強く認められた特発性難聴に対する鍼灸治療（原田明子）
　・薬局漢方／不安・抑うつの訴えに薬局漢方ができること（松江一彦）

＊新・方剤学～方剤分類と方意～／第26回／“通”の治法④（加島雅之）
＊中医診察ナビゲーション◇難治性疾患の弁証論治／清熱・解毒・通絡による三叉神経帯状疱疹後の皮膚感染治療（丁元慶）
＊杏林春秋／経絡病証に対する湯液治療（篠原明徳）
＊杏林春秋／日中における脳卒中の中医学・漢方治療の現状（横澤隆子ほか）
＊ショートレクチャー／漢方行動・性格心理学／第8回／肝うつと内風（石川利博）
＊ニッポンの漢方薬局を訪ねる㉗／白記 漢方堂鍼灸院／中医学は生活に根ざした文化　再び日常の生活に還る（白芳［聞き手］猪越英明）
＊シリーズ／中薬配方顆粒／第3回／中薬配方顆粒の臨床応用における利点と欠点（編集部）
＊乾くんの教えて！望・聞・問・切診／第18話／問診④飲食と味覚を問う／後編（石井尊子）

＊弁証論治トレーニング121〈虚血性大腸炎〉（呉澤森）
　・回答へのコメント（呉澤森・高橋楊子）
　・次回出題（滝沢健司）

＊TCMA研修 フィードバックto the フューチャー［第14回］最終回／分析結果とエコーアプリシエイション（鎌田剛）
＊鍼灸症例／脊損（左半身不随）に対し醒脳開竅と功夫訓練により奏功した一症例（奥圭太ほか）
＊杏林春秋／胎毒治療から生命観をさぐる―中朝の医学文献から―（足立繁久）
＊仮免鍼灸臨床からの脱皮／その57／「気象病」を考える／気象病を経脈の流注から検証する（大石知絵子）
＊鍼灸百話／第60話／胆経の経脈病証構築の試み（篠原昭二）
＊近況雑感／顔面㿠白（浅川要）

＊未病を治す知恵58／現代中医学で画期的な科学技術成果15選～その①～（藤田康介）

中医臨床 通巻176号（Vol.45 No.1）

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